陳皮とは、みかんの皮を乾燥させた生薬の一種で、中国では熟したみかん科のオレンジを干したものが利用され、漢方薬の原料として用いられてきました。
日本では、熟した温州みかんの果皮を乾燥させたものが代用されています。日本薬局方においては、陳皮とは、温州みかんまたはマンダリンオレンジの成熟した果皮と定義されています。
みかんの皮には、香り成分であるリモネンやテルピネンなどを主成分とする精油が含まれ、お湯に入れるとこの精油が溶け出し、毛細血管を広げて血行を促進し、冷え性や肩こりに効果があります。これらの効果はみかんの皮を干すことでより高まります。また、陳皮にはポリフェノールの一種であるヘスペリジンが含まれています。ポリフェノールとは、植物界に広く存在する色素や苦み、渋み成分のことで、その種類は5000以上あるといわれています。ヘスペリジンにもリモネン同様に血行を促進し、体を温める効果があります。
陳皮はみかんの皮を陰干しして乾燥させ、1年以上経ったものが生薬として利用されます。陳皮の「陳」とは、「古いもの」を意味するため、一般的に年代を重ねたものの方が優れた薬効を持つことから、陳皮と呼ばれるようになりました。
また、未成熟の青い皮を乾燥させたものを青皮(せいひ)、オレンジ色に熟れた皮を乾燥させたものを橘皮(きっぴ)と呼びます。
陳皮には吐き気を止める作用、体内の余分な水分を追い出す作用などがあります。漢方薬では六君子湯(りっくんしとう)や平胃散(へいいさん)などに利用されています。また、正月に飲む屠蘇散(とそさん)にも使用されており、厄病退散の縁起物として重宝されています。それ以外にも日本では七味とうがらしの一味としても利用されています。

<豆知識①>先人の体を温める知恵 みかん風呂
古くからみかんやゆずなどの柑橘類の皮は入浴時の入浴剤のようなものとして利用されてきました。これは、柑橘類が持つ香り成分、リモネンやテルピネンなどを主成分とした精油が湯に溶け出し、毛細血管を広げ、血行を促進することから体をより早く芯まで温める効果によるものです。血流が改善されることで、手足のひえや肩こり、腰痛の改善、疲労の回復などに良いとされ、体を温めるための古くからの知恵として知られています。

みかんの皮