ナツメについて
大棗のもととなるナツメの果実は、中国で古くから桃や李、杏、栗と共に「五果」として数えられ珍重されてきました。日本には奈良時代には伝わったとされており、日本に現存する最古の和歌集である「万葉集」にも記載されています。
ナツメは4月~5月に淡緑色の小さい花を咲かせ、5月~10月にかけて楕円形の果実を実らせます。ナツメの果実は未熟なうちは淡緑色ですが熟すにつれて暗赤色になります。果実を夜露にあて日にさらし干したものを紅棗(こうそう)、紅棗を蒸してさらに干し、しわと黒味が帯びたものが大棗(黒棗)とされています。大棗は生薬として、紅棗は食用として市場に多く出回っています。
ナツメは市場では主にドライフルーツとして目にすることが多いですが、ナツメの果実が実る秋の季節には生で食べることもでき、りんごのような食感と甘酸っぱい味わいが特徴です。また、「1日に3個食べれば歳をとらない」といわれるほど高い栄養価を持つことも特徴のひとつです。
ナツメの果実は薬用だけでなく食用としても注目されており、中国や韓国などで縁起の良い食べ物として珍重されています。韓国では薬膳料理として日本でもよく知られるサムゲタンの材料に使用されています。また、ナツメとピーナッツを黒砂糖で調味したスープは、慢性肝炎や肝硬変の病状を改善する治療薬膳のひとつとされています。
日本や中国ではもちろんのこと、インドの伝統医学アーユルヴェーダでも、ナツメの果実が治療に使われています。