●基本情報
ハブ茶は、北米を原産とするマメ科の一年草[※1]のエビスグサの種子からつくられます。エビスグサは長さ3cm~4cmの卵型葉をもち、成長すると草丈は80cm~150cmになります。初夏には黄色い5弁の花を咲かせ、その後15cm程の細長い弓型の豆果をつけます。中には濃褐色で光沢のある30粒程の麦型をした種子が一列に並んでいます。
中国ではエビスグサの種子を決明子と呼び、漢方として珍重されています。日本では漢方にはあまり使われておらず、民間薬や健康食品の原材料として利用されています。

●ハブ茶の歴史
ハブ茶は本来、エビスグサと同じマメ科の植物であるハブソウからつくられていました。しかしハブソウは収量が少ないため、薬効にほとんど差がなく収量の多いエビスグサが代用されるようになりました。現在のハブ茶の原材料となっているエビスグサは、古くから薬用として利用されており、アフリカのナイル川流域で栽培されていたといわれています。ハブ茶の原料となる決明子について、中国の医学古書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」[※2]には、別名として草決明(そうけつめい)、馬蹄決明(ばていけつめい)、仮緑豆(かりょくず)などの記載があります。日本には17世紀に中国から伝えられました。
生薬である決明子については中国の明の時代の「本草綱目(ほんぞうこうもく)」[※3]に記載されており、便秘や肩こりを緩和し、眼精疲労などに効果があるとされています。決明子の決明には明を開くという意味があり、「目を良くする(決)種子」に由来します。またエビスグサは、異国から来たという意味で「夷草」[※4]という名前になったといわれます。

●ハブ茶に含まれる成分と性質
ハブ茶の原材料であるエビスグサの主成分はアントラキノン誘導体です。アントラキノン誘導体の働きにより、目の疲れの改善や便秘の解消、更年期の症状の緩和や高血圧改善といった様々な効果が期待できます。他にもアントラキノン誘導体には緩下作用[※5]、滋養強壮作用、利尿作用などがあります。さらにハブ茶は口内炎や二日酔いの予防にも効果があるといわれています。また、ハブ茶にはビタミンAも含まれます。

[※1:一年草とは、種をまいてから一年以内に発芽・生長・開花・結実・枯死する草のことです。]
[※2:神農本草経(しんのうほんぞうきょう)とは、中国最古の薬物学書です。]
[※3:本草綱目(ほんぞうこうもく)とは、中国で分量や内容が最も充実した薬学著作のことです。]
[※4:夷とは、一般に遠国の民族の総称としても用いられる言葉です。]
[※5:緩下作用とは、便を緩くし自然と排便できる状態にすることです。]