DHAは、青魚に多く含まれている不飽和脂肪酸で、体内ではEPA(エイコサペンタエン酸)からつくられる成分です。冷たい海に住んでいる魚の脂で、低温状態においても固まらない性質を持ちます。
DHAの注目された歴史的背景は?
グリーンランドに住むイヌイットは、動脈硬化や脳梗塞などの生活習慣病、また心筋梗塞などによる死亡率が少ないことがわかり、イヌイットの食生活に注目が集まりました。冬の最低気温が約-60℃にもなるグリーンランドでは、野菜の栽培が不可能なため、イヌイットの主食は脂肪分の多いアザラシの肉や魚です。
1972年、デンマークの2人の研究者はイヌイットの血中脂質をデンマーク人の血中脂質と比較したところ、デンマーク人よりもイヌイットの血中脂質や血中コレステロール、血中トリグリセリドなどが低く、冠動脈心疾患などの循環器系疾患の罹患率が低いという結果が報告されました。デンマーク人の急性心筋梗塞での死亡原因が40%であるのに対して、61歳以上のイヌイットの罹患率は約3%と驚くほどの少なさでした。
その理由として、イヌイットの主食であるアザラシや鯨などにDHAやEPAなどの多価不飽和脂肪酸が多く含まれていることが推察されました。野菜を食べないイヌイットの食生活は、一見、バランスが悪い不健康な食生活であるように思われますが、イヌイットの食事に多く含まれているDHAやEPAなどの多価不飽和脂肪酸が、血中脂質を減らし、冠動脈心疾患などの循環器系疾患を防いでいる可能性があることが報告されました。
そこから、DHAやEPAのさらなる研究が始まり、1990年、高純度EPAエチルエステル(純度90%)が、高脂血症などを適応症とした医薬品として使用され始めました。また、同年、まぐろやかつおの眼窩脂肪(がんかしぼう)に高濃度のDHAが発見されています。以来、DHAの健康維持効果への期待が高まり、研究・開発は続けられています。
何はともあれ、我々日本人は、戦後 何かと欧米化した生活に憧れ、衣食住すべてにおいて、従来の生活を変更してきた結果、近年様々な問題が、生じてきております。今こそ、日本の伝統文化を再認識していきましょう!