●血流を改善する効果
イチョウ葉エキスは、脳や血管の症状に対する効果で広く知られていますが、そのもととなっているのが、血流を改善する効果です。
イチョウ葉エキスの血流の改善作用は、主に3つの作用の相乗効果によって行われています。

1つ目は、血管を拡張する作用です。
イチョウ葉エキスには、血管を収縮させるトロンボキサンA2という物質の働きを抑制する作用があります。
トロンボキサンA2は血小板から生成された成分で、動脈や気管支を収縮させたり、血小板を凝集させる働きを持った物質です。
イチョウ葉エキスの働きは、動脈や気管支の収縮を妨げ、血管を拡張させる働きがあります。

2つ目は、血小板の凝集を抑制する作用です。
イチョウ葉エキスには、血小板を凝集させる物質であるPAF(血小板活性化因子)の作用を妨げる働きがあります。
PAFは活性酸素やウイルスなどの刺激で、炎症やアレルギー反応が起きると発生し、血小板を必要以上に活性化させ、凝集させる物質です。
また、PAFには血液中の水分を血管から外に染み出させる作用もあります。血液中の水分が減少することで、血液が濃くなり、粘度が高まるためPAFの働きはいずれも血流の悪化へとつながります。
イチョウ葉エキスは、このPAFの活性を抑制して血小板の凝集などを防ぐことができます。

3つ目は、活性酸素の生産を抑制する作用です。
血液がドロドロになる大きな要因の1つは、血液中の悪玉(LDL)コレステロールが活性酸素によって酸化することです。酸化した悪玉(LDL)コレステロールは血液の粘度[※8]を高め、流れを悪くしてしまいます。
さらに、酸化した悪玉(LDL)コレステロールは血管の壁にくっつき、血管を傷つけることで、動脈硬化の原因となる可能性があるのです。
抗酸化作用を持つイチョウ葉エキスを摂取することは、血液中の悪玉(LDL)コレステロールの酸化を抑えて血液をサラサラにします。
以上の3つの作用の相乗効果により、イチョウ葉エキスの摂取は血流改善の効果を発揮します。

●冷え性を改善する効果
イチョウ葉エキスの働きは、日常生活で感じることの多い不快な症状の緩和にも直結します。
例えば、めまいや耳鳴り、肩こりなどは血流が悪いことが原因となって起こる代表的な症状です。冷え症は女性に多い悩みですが、単なる体質による症状ではなく、血行不良が原因であるともいわれています。よって、血流改善の作用は、冷え症の改善にも効果があるといわれています。

●脳梗塞などを予防する効果
血流の良し悪しは、人間の健康状態につながっているといわれており、動脈硬化や高血圧などの病気を予防する効果も期待されています。
また、脳は多くの酸素や栄養素を必要とするため、血流の状態によって脳の健康も左右されます。よって、脳内の血流が悪くなると、脳細胞に栄養などが行き届かなくなることで、脳の細胞が死んでしまったり、脳内に血栓ができて脳梗塞を引き起こす危険性があるのです。
したがって、イチョウ葉エキスには、脳における血管障害によって発生する脳梗塞などの病気を予防する効果もあるといわれています。

●認知症を予防する効果
認知症とは、脳の障害によって知的能力が著しく低下する症状の総称で、イチョウ葉エキスは認知症の予防や改善に効果があると考えられています。
認知症の原因は、脳の病気や体の病気など数多く存在しますが、最も代表的なものとして、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」の2つが挙げられます。

・アルツハイマー型認知症を予防する効果
イチョウ葉エキスは、アルツハイマー型認知症に対しての予防効果を持つと考えられています。
アルツハイマー型認知症の代表的な症状は、記憶障害、判断力の低下、妄想や幻覚などが挙げられます。進行性の病気であるため、早期の発見や治療などが重要です。
脳の神経細胞は加齢とともに減少していきますが、アルツハイマー型認知症の脳においては、早期に、かつ急激に失われていってしまいます。
アルツハイマー型認知症の原因は仮説が多く存在するものの、明確にはなっていません。
しかし、アルツハイマー型認知症を患った人の脳には、茶色いシミ(老人斑)が多く見られるといわれています。
このシミの正体はアミロイド-βというたんぱく質の一種です。
アミロイド-βは異常なたんぱく質で、脳内で蓄積された場合、アルツハイマー病認知症の原因にもなりうる物質であるといわれています。
イチョウ葉エキスには、このアミロイド-βの蓄積を妨げる働きがあり、結果的にその量を減少させることにつながると考えられているのです。
これは2001年にアメリカの研究グループから発表された研究結果に基づいた考察であり、今でもイチョウ葉エキスについてのアルツハイマー型認知症に対する効果の研究は各国で行われています。

・脳血管性認知症を予防する効果
イチョウ葉エキスの血流改善の作用は、脳血管性認知症の予防効果にもつながるといわれています。
脳血管性認知症とは、脳梗塞や脳出血など、脳内の血管障害によって発症する病気です。
小さな脳梗塞であっても、多発することによって、認知症や運動障害が現れる原因となります。
イチョウ葉エキスの血流改善効果によって脳梗塞の発生を抑えることは、脳血管性認知症の予防にも深く関与しています。