1.イチョウ葉エキスの歴史
イチョウ葉エキスに含まれる成分の効果を最初に見出したのはドイツで、1960年代にイチョウ葉エキスの血流改善作用について、その研究結果が発表されました。
その後、1965年にドイツでイチョウ葉エキスが医薬品として登録されたことから、ヨーロッパにおけるイチョウ葉エキスに対する研究が加速していきました。
なお、イチョウ葉エキスは植物由来のエキスであるにも関わらず、その研究結果が発表されてから医薬品として認められるまで、異例の速さであったといわれています。
それほどイチョウ葉エキスが持つ働きや作用は、人体に対しての効果が明白であり、高い信憑性があったということです。
2.イチョウ葉エキスに含まれる健康成分と性質
イチョウ葉エキスに期待できる主な健康成分としては、フラボノイドとギンコライドの2種類があげられます。
・フラボノイド
フラボノイドとは、黄色の色素でポリフェノールの一種です。
ポリフェノールとは、植物が自らの身を守るために生成する物質で、色素や苦みのもとである健康成分の総称です。
フラボノイドは植物の発芽や成長に関与しており、世界中で4000種類以上が知られています。ビタミンPとも呼ばれるフラボノイドは、毛細血管を強化するという特徴的な働きを持ち、血行促進の効果があるとして、イチョウ葉エキスが注目されるきっかけともなった栄養素です。
イチョウ葉エキスには、30種類ものフラボノイドが含まれており、その中でも血液循環の効果が特に高いといわれている「二重フラボン」が特有成分として6種類も存在しています。
「二重フラボン」とは、2つのフラボノイドが重なった成分で、その血液循環効果は他のフラボノイドと比べて約3倍も高いといわれています。
フラボノイドは、血管の材料であるコラーゲンやエラスチンの酸化を抑制します。
すなわち、フラボノイドの積極的な摂取は、しなやかな血管をつくることにつながるため、毛細血管などの末梢の血管を広げ、全身の血行促進につながります。
・ギンコライド
ギンコライドとは、イチョウ葉エキスのみに含まれる、ファイトケミカルと呼ばれる健康成分の一種です。
ギンコライドは強力な抗酸化作用[※3]を持っており、脳細胞を活性酸素[※4]から守る働きがあるといわれています。
イチョウ葉エキス特有の成分であるギンコライドには、血小板[※5]が固まることを抑制し、血栓[※6]が血管壁にできることを防ぐ効果があります。
また、アレルギーの原因にもなる血管に起こる炎症を抑える働きもあります。
●各国でのイチョウ葉エキスの取り扱い
イチョウ葉エキスはその有効性から、数十カ国で医薬品として認可されています。
しかし、日本では2012年現在、イチョウ葉エキスは未だに医薬品扱いの成分としては認められていません。
その理由は、健康成分を医薬品扱いにする基準の違いにあります。
イチョウ葉エキスに含まれる成分は無数に存在するといわれており、フラボノイドやギンコライドはその一部に過ぎません。
ヨーロッパなどにおいては、実際に効果があり、副作用がないことが認められた健康成分については医薬品として扱うことができます。日本では、認可対象の健康成分に含まれる全ての成分を解明した上で、特定の症状に対する働きを治験で証明できて、初めて医薬品扱いとなるのです。
その有効性は広く知られているものの、全貌が未だに明かされていないイチョウ葉エキスが、日本で医薬品としての健康成分に認可されるには、長い期間を要します。
このように、ヨーロッパ諸国よりも厳しい基準により、イチョウ葉エキスは日本において食品として扱われています。