ハトムギの栽培は、インド北東部のアッサム地方からミャンマー付近にかけて始まったといわれています。インダス文明期の詩節「リグ・ヴェーダ」の中に、ハトムギの記載があることから、紀元前1500年頃には、すでにインドでハトムギの栽培が広まっていたのではないかと考えられています。
中国へ伝わったのはそれから1500年後、後漢時代の名将である馬援が持ち帰ったといわれています。6世紀の書物には、中国ではハトムギを米のように炊いて食べたり、粉状にして団子のように食されていたことが記されています。
滋養強壮に効果があるとして重宝されたハトムギは、「ヨクイニン」の名前で約2000年前に記された司馬遷の「史記」にも記述があります。
また、中国の古書「神農本草経」には、「久しく服すれば、補虚、益気、軽身などの効果がある」という記述が残っています。

日本に伝わったのは江戸時代で、学者・貝原益軒は病気の後や出産後の体力回復にハトムギを処方していたといわれています。
ハトムギは、薬用植物として栽培されており、

『民間薬用植物誌』には、

①根を煎じて通経剤とする、

②身を煎じて利尿・健胃剤とする、

③脾臓を丈夫にし、胃を強くし、食欲を増進する

④脚気にもよく効く、

⑤のどがはれて痛む時には粉を吹き込むとよい、

などの効用が記されています。
明治時代以前までは1反歩(約1000平方メートル)で、4石(約180ℓ)もの収穫があったことから、四石麦(しこくむぎ)とも呼ばれ、飢饉の時には非常用食糧として活用されていました。
1884年頃になると、当時の厚生省がハトムギを保健食として推奨し、近年ではハトムギの様々な健康効果に注目が集まっています。

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