1.黄斑変性症を予防する効果
ルテインはゼアキサンチンとともに、活性酸素により起こりうる酸化のダメージから黄斑部を守ってくれる効果があるといわれています。網膜には、光や色を認識する視細胞が1億個以上も存在しており、特に色の識別を行うすい体細胞が多く集まっています。目の中心で多くの情報を受け、多くの光を受け止めるということは、その分ダメージを受けやすいことを示します。
ダメージを受けた黄斑部が変性する、黄斑変性症という病気は、加齢などの原因で視力が低下してしまう病気で、65歳以上の人が失明する大きな原因のひとつでもあると考えられています。物体の大きさや色彩などが違って見えたり、さらには物が動いたり曲がったように見える症状が代表的です。
また、視野の中心に黒い点が現れるようになり、症状が悪化すると、やがて失明状態になってしまうのです。
黄斑変性症に対するルテインの効果を調べた研究では、被験者が長期間に渡り1日10mgのルテインをサプリメントで摂取し、症状が改善した事例もあります。
目の健康に対するルテインの研究の歴史は古く、1782年に網膜の黄斑部に黄色い色素が存在することが発見されたことをきっかけに、1866年には黄色い色素が見る力を改善するという研究が行われました。
最近では、2007年からアメリカにて、4000人以上を対象とした6年間の大規模な臨床試験(AREDSⅡ)を行っています。ルテインとゼアキサンチンを摂取していると、黄斑変性症のリスクが低くなるというデータが得られており、今後のさらなる研究の発展が期待されています。
ルテインが持つ強力な抗酸化作用は、黄斑部のダメージを抑制し、黄斑変性症を予防する効果につながっているのです。
さらに、ルテインは黄斑変性症の初期症状でもある、飛蚊症[※5]にも効果的であるといわれています。

2.白内障を予防・改善する効果
ルテインは、白内障の予防に効果的です。
白内障とは、水晶体のたんぱく質が活性酸素によって変性し、白く濁るため徐々に見えづらくなってきてしまう病気です。
水晶体は赤ちゃんの頃はきれいな透明ですが、加齢や光のダメージなどによるたんぱく質の変性で、白濁が進みます。一度白くなった部分は、もとの透明な状態に戻ることはできません。

カメラで例えると、レンズに汚れや濁りが存在する場合、写りが悪くなります。
同様に、白内障も進行とともに視界のかすみや視力の低下が症状として現れてくるのです。
病気の自覚症状や進行速度には個人差がありますが、顕微鏡を通して水晶体を検査すると、40歳を過ぎた頃から誰にでも水晶体に濁りが生じるといわれています。
60歳代では70%、80歳代では、ほぼ全ての人にその症状が現れ、白内障は世界の失明原因の第1位であるといわれています。
白内障の完全な治療には手術が必要で、白く濁った水晶体の替わりに透明な人口のレンズを目の中に入れ、視界をクリアにすることができます。
ルテインは、入射してくる光の中でも特に有害な光線を吸収してくれるため、積極的なルテインの摂取は、白内障の予防にも効果があるといわれているのです。
なお、ルテインを豊富に含む緑黄色野菜の摂取頻度が高まると、それに比例して白内障発症のリスクが抑えられることも明らかとなっています。

3.コントラスト感度を改善する効果
コントラスト感度とは、ものの濃さ薄さを見分ける能力です。
ルテインは、摂取することにより血液中に取り込まれ、目の黄斑部に蓄積します。
黄斑部にルテインが蓄積するとコントラスト感度が改善することが知られています。
プラセボ群58名、ルテイン10mgとゼアキサンチン2mgを3ヶ月にわたり摂取した57名計115名を対象に、コントラスト感度の比較をしました。
その結果、ルテインとゼアキサンチンを摂取している群のほうが、有意にコントラスト感度が改善しました。
また、血しょう中のルテイン・ゼアキサンチンの濃度も上昇しており、黄斑密度も上昇しました。
この研究により、ルテイン・ゼアキサンチンを続けて摂取することにより血中に吸収され、黄斑に届きコントラスト感度を改善することがわかりました。

4.炎症を抑制する効果
ルテインは、抗酸化作用に加えて抗炎症作用も持つことが明らかとなっており、ルテインの持つ抗炎症作用はぶどう膜炎などの眼病予防に効果的であるといわれています。
ぶどう膜炎とは、ぶどう膜に起きる炎症の総称であり、ぶどう膜とは、目の中の虹彩[※5]、毛様体、脈絡膜と、それに隣接する組織を指します。
ぶどう膜は、目を構成するとても重要な組織ですが、ぶどう膜炎の起こる原因は様々であり、時には原因不明の病原体による感染も起こりえます。
ぶどう膜炎の自覚症状の代表的なものは、目の赤み、目の痛み、視力の低下、ゆがみなどの症状です。
ルテインの持つ抗炎症作用は、炎症を引き起こす因子の働きを抑えることで、ぶどう膜で発生した炎症を抑制し、ぶどう膜炎が発症するリスクを低減させる可能性が期待できます。

5.美肌効果
紫外線は肌にも深刻なダメージを与えますが、人間の皮膚に含まれているルテインは、酸化や光のダメージから肌を守る作用によって消費されてしまいます。
ルテインを体内に補うことは、目だけではなく肌の老化予防にもつながるのです。
イタリアの研究グループでは、皮膚の悩みを持つ様々な女性を対象にした臨床試験が行われました。被験者である女性にルテインの摂取と肌への塗布を行ったところ、被験者の肌の水分量、脂質量、弾力性、光保護作用がそれぞれ向上したという結果が報告されています。

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